初めて、会ったとき

いい、匂いがしていた。



「教皇様、その子は?」

サガの前に、教皇に抱かれた一人の子供がいた。
4−5歳くらいの、銀色の髪の子。
全身に、茶色の粉が所々に付着して少し汚れている。
眠っているのか、気を失っているのか、目を閉じて
ぐったりとしていた。

「ジュノーネ・ラチニアの神殿跡で見付けた」

教皇は、胸の中の子供をちらと見て答えた。

「ジュノーネ?」
「ヘラ太后の神殿だ。シチリアにある」

教皇は、腕の中の子をじっと見つめて「なるほど」と呟いた

「?」
「・・・元々、あの大蟹はヘラ太后に仕えていたからな」

言葉の意味が今ひとつ理解出来ないサガの前に、教皇は
腰を屈めた。

「おそらくこの子は、お前と同じ位置に就くだろうな」
「え?」
「最も、お前もこの子も修行に耐えて、七感に目覚めればの
 話だが」

この子が、黄金に・・・
サガの胸が高鳴った、驚きなのか喜びなのか不安なのか
分からない。震える手を、子供の頬に添えようと近づいた。
ふっと、甘く香ばしい香りが鼻をくすぐる。
「?」
サガは、未だ目覚めない子供の頬をそっと撫で、
髪の辺りに顔を寄せ、目を閉じ思わず呟いた。

「いい、匂いがしてる・・・」

あれは

何の匂いだったのだろう