些細な事ほど効き目が悪い

始めに

中島みゆきさんが、渋谷のシアターコクーンという劇場を
使って「言葉の可能性」を求めるという舞台
「夜会」といわれる公演の中の作品の一つ
「ウィンター・ガーデン」
というストーリィについての、みゆきさんのコメントを
紹介させて、頂きます。

「私、今回の話はハッピーエンドに作っている
 つもりなんです。
 でも、誰かと誰かが一緒になって幸せとか、
 お金持ちになって幸せとかではなく...
 
 忘れる。何もかも忘れてしまう。
 それも、幸せの一つの形ではないのかな?
 と思ってるんです」


2000年の11月に、ウィンターガーデンの初日公演を観た
その数日後、このコメントをラジオで聞いたとき...

正直、ピンと来ませんでした。

あのステージのラストが、私にはハッピーエンドに
見えなかったので。
でも
「忘れることも幸せの形の一つ」
という言葉が印象的で
具体的にその解釈は出来なかったものの、

「幸福の形態の一つに、忘却という要素がある」

ということを理解できるまで
胸の奥底に留めておこうと思い

それから、一年の月日が流れました。



2001年12月

10年ぶりの星矢熱がぶり返し
あの時の書籍を少しでももう一度読みたいと
切に願った私は
年の暮れの慌しい街中に出掛け、
日本でも有数の規模を持つ古本屋に足を
運ばせました。

永久保存版のコーナーを探していると
星矢が何冊か見つかり
私はその一つを手に取りました。

ハーデス編の、始めの頃の話です。

私、ハーデス編って最終回まで全部読んだはずなのに
ストーリィが、
殆ど思い出せませんでした。

年月が経っているので、星矢のストーリィ内容は全体的に
大分ぼやけておりましたが、ハーデス編はまた違っていて
時間による像のぼやけというよりは....

そこだけ
ぽっかりと穴が開いたように、
記憶の全ては、白く塗られておりました。

おかしい...

だってハーデス編の始めの方は
デスマスク様が復活して
もう登場は諦めていた私の心に
光明を与えてくれたはずじゃないの。

その大切な話が、どうして思い出せないのかしら...

そんな、抜けてしまった記憶の穴を取り戻したかったの
でしょう。

私は永久保存版の星矢11巻を手に取り、
ページを開きました。

まるで、パンドラの箱を開けるかのように−−−−


以下


デスマスク語録、ダイジェスト版で紹介します。


−−−−−−−−−語録開始−−−−−−−−


「だまれ!!この世でぬくぬくと生を
 むさぼっているきさまなどに、
 死の世界の恐怖がわかってたまるか!!」


これはカッコよかった(*^^*)

「冥衣!!そして、冥王ハーデス様に
 忠実なる死の国の戦士・冥闘士の
 証なのだ!!」


この説明が最大の「役目」だったのかもしれない


「ぐわあーッ」
「ぐぴっ」

「ぐっ...うう、こ...こんなバカな
 冥界波の威力がすべて、このオレに
 はねかえってきた....」
「せ...せっかく生きかえったというのに
 あやうくあの世へ逆もどりするところ
 だったぞ...うう...」


うう...


「よお〜〜〜し
 ならば望み通り殺してくれるわ!!
 死ねムウよ!!」
「ぐわはああああ〜〜〜〜〜ッ
 あぎゃあ−−−−ッ」

「う...くっ...だ...だれだ、
 邪魔しやがったのは〜〜〜ッ」


キーボード打ってるのに、耳痛いよママン

「やかまし−−−−い」
「余計な邪魔をしくさったと思ったら
 今度は泣きごとかあ−−−−ッ
 い〜〜〜かげんにしろっぴ!
 このクソガキゃあ−−−−−ッ」


雲行きが、怪しくなってきました

「狡兎死して走狗煮られるとは
 このことだあ−−−−ッ
 おまえらはお払い箱!
 もはや用済みということなのだ
 
ウワ−−−−ッハハハハ
 さあ早く消えろ、青銅のクソガキめぇ!!
 モタモタしてっと
 オレが煮殺してくれるぞぉ」


少し落ち着けよ


「ぎゃん!!」


だから落ち着けよ


「クッククク、なんだなんだ
 その破損だらけの聖衣はあ〜〜〜ッ」
「P!」
「P!」

「前の闘いでぶち壊されたまま、ムウに
 修復もしてもらえんとは
 
マンモス憐れなヤツ!!」

ここまでは、幽かに記憶があったんです...
でも、次からは完全にスッポ抜けてました


「うぎゃぴい〜〜〜っ」

「こ...このクソガキ〜〜〜ッ
 調子に乗りやがって、こうなりゃあおまえを」
 一番の血祭りにあげてやるぅ〜〜〜っ」
「おとしてやる、おとしてやる
 死界の穴 黄泉比良坂へ
 けりおとしてやるぞォ〜〜〜ッ」


 
忘れさせて〜古い口癖...

「うあっ どぴい!!

 くっ...ムウのヤツ あんなやさしい
 顔をしてるくせに...
 な...なんてバカ力だ...い...いてえ」


「うぎゃぴい!!」

 
何かの弾み、思い出して泣ける〜

うわっ
 うう...た...たのむ どうか
 もう一度だけチャンスをくれ...」
「こ...今度は必ず アテナの首を
 とってくるから...」
「だ...だからお願いだ 死界へ送り返す
 ことだけはやめてくれ」
「ど...どうか ハーデス様にお目通りを...
 た...たのむぅ〜〜〜っ」
 

「い...いやだ またあの
 死の国へ戻るのは
 もうたくさんだあ−−−−−ッ」


「うわああ や...やめろ〜〜〜ッ」

「うわあああ−−−−ッ」



−−−−−−−−−語録終了−−−−−−−−


...って


ああああ...あなた


あなた...あなたいったい






誰?






ち..違うでしょ、あなた

そんなキャラだったけ? ハーデス編では?

これだけ?
出番これで終わり?


このあとは「嘆きの壁前」まで
出番無し?


........無しでした、はい。


違うわ、
これ違う!!

このキャラってさぁ............




デスマスクの皮
かぶった
なんかでしょ?





掌上に広げられたストーリィの内容に
混乱する頭の中、
なんとか、永久保存版の星矢11巻を本棚に戻し、

ふらついた足取りで、店を出ました。


季節は、冬。


年の暮れの寒空を、ふと見上げたとき
一年前に聞いた
中島みゆきさんの言葉が蘇りました。

「忘れる。何もかも忘れてしまう。
 それも、幸せの一つの形ではないのかな?
 と思ってるんです」


いつか、理解したいと思っていた言葉でした。

記憶を奪ってしまうことが、幸せに結びつくのだ
という考え方を、受け止められる日が
来ることを、望んでおりました。


でも...


見上げた、鉛色の空から
雪が、一ひら、また一ひらと
私の元に、振り落ちてきました

真白な、雪の一つ一つが
何故か、
吹き出しの形に見えて

そこに、言葉が現れて来ました















「P!」

「P!」


「ぐぴっ!」







うええええ〜〜ん!(T△T)




こんな
こんな形での
理解なんか

したくなかったあ〜っ!!







葵みどり(星矢出戻り組)

星矢から離れていたこの
10年の間

脳内のデスマスク像


















↓ここまで、変化していたようです
 
鳳こよみ嬢、画






























PS.ラダマンティス、かっこいいしさ....