夜も更けて、人々が眠りの中に入った時…
 「う…うわあーっ!!」
盟は大きな声をあげて思わず、師であるデスマスクに
しがみついた。
 「なっ…ど、どうした、盟!!」
デスマスクは混乱しつつ、盟をなだめていた。
盟はデスマスクの胸に顔をうずめ、震えている。
 「師…師匠…俺…」
 「…ったく、どうしたんだって、盟」
 「…他の候補生が…俺をボコボコにする…
夢を見たんだ…」
 「つまり、お前がKOされる夢を…」
 「師匠…怖い…」
デスマスクは盟を抱き寄せ、軽くポンっと頭に手を
乗せて、言った。
 「安心しろ、逆夢だろうから…」
 「…師匠…」
盟は安心したのか、デスマスクに抱かれたまま再び
眠りはじめた…。

 イタリア・シチリア島。
かつて、デスマスクはこの島で修行した。
今、同じ場所で自分の弟子・盟が修行しているのを見て、
デスマスクは過去に思いを寄せていた。
盟がシャドウボクシングをしている姿が、昔の自分の姿
と重なり、デスマスクは目を閉じた。

 「まるで、目の前の蜘蛛の巣を振り払っているようだ」

デスマスクは呟いた。
今頃の自分は何を思っていたか、と、デスマスクは記憶を
思い返してみた。
 「そうだ…俺も不安でいっぱいだった…」
負けるのは怖くなかった。
負けたら、強くなって反対に負かせばいいと思っていた。
ただ…自分よりはるかに強い奴と会って、逃げ腰になる
自分が来る
ことに怯えていた。そんな日が来ることに、自分は怯えて
いたのだ…。
 「…師匠?」
盟が汗を拭きながら、デスマスクを呼んだ。
はっとして、デスマスクは現実へと戻ってきた。
 「どうした、もうシャドウボクシングは終わったのか?」
 「ああ」
盟はデスマスクの隣に座った。
風が、デスマスクと盟の髪を揺らす。
金と銀の髪が、シチリアの風の中でキラキラと輝いた。

    
Blowin' Blowin' in the wind
   風に揺れる心を抱えたまま
   We're dancin' in the reservation
   しびれるような眼差しをずっと忘れないで


 「…師匠、いつも修行ばかりでつまらない」
盟が言った。
デスマスクは盟を見て、本当だな、と言った。
 「気分でも変えに、喫茶店にでも行くか?」
 「うん!」
2人は海辺の喫茶店にやってきた。
盟はブラッドオレンジジェラートを
デスマスクはカプチーノを注文した。
普段は注文しないものだ。
 「…珍しいな、お前がパニーニ注文しないなんて」
 「師匠こそ、普段ならエスプレッソ注文するのに、
  カプチーノだもん。驚いたよ」
 「へへっ…少々マンネリ化してたからな、気分を変え
  たかった」
 「それは俺も同じ」
2人は顔を見合わせた。
そして、大声で笑い出した。
結局、2人ともこの同じ流れの日常を少しだけ変えたか
ったのだ。
二人は気のすむまで笑い続けたが、そんな2人に気おさ
れたらしく、二人のいる席へ注文の品を届ける予定の店員
がその場に近づけなくなっていた…。
 結局、2人は注文した品物を食べて、喫茶店を後にした。
すぐに家には帰らず、丘の上で2人は寝転がっていた。
 「気持ちいい風だな、盟」
 「う〜ん、心がきれいになるようだ!」
その風を全身に受けようと、盟は立ち上がろうとした。
デスマスクの目には、その姿が今まで見てきた盟の中で、
一番美しいと感じた。
デスマスクも立ち上がり、盟に声をかけた。
 「そろそろ行くぞ。『力』という名前の形のない答えを探す
  『修行』って旅に!!」
 「おう!!」
2人は風の中をゆっくり家路に向かって歩いていった…。


    Blowin' Blowin' in the wind 
   ウワキな街で君の足もとに転がる
   We're dancin' in the reservation
   はかない夢にどうかつまづかないように…

                           〜fin〜


♪コメントv..v♪
 初めてのデス×盟です。
ギガントマキアの中で、一番彼が好き!!デスマスクとの修行はこうだった
んじゃ、って想像するのがとても楽しかったです!!
タイトルはB’zの「BLOWIN’」から取りました。デスマスクがこの曲って
のも何だけど、最近はまっているアーティストなので、許してください!!
まあ、そう言いつつ、みどりさんに渡したイラストには、やっぱりB’zの曲
「GO☆FIGHT☆WIN」のサビ部分が書いてあったりするんですよね〜!!
何気に、星矢っぽい曲が多いと最近思います!!では、
ご迷惑いろいろとありましたが、プチギガ祭りのオアシス(byみどりさん)
となるような作品になりました。
では、すばらしい企画を立ち上げてくれたみどりさんと、
デスマスクと盟に乾杯!!


2002,9,26 THU なずな拝


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