i.<Coma>

  1.

 ちょっと星矢ちゃんが出るだけで大して書くことも
ないんだけど、一言だけ。

 「気のせいか」ですませるのは非常に危険ですよ星矢
ちゃん。
 そういうのは大抵「気のせい」じゃないって相場が
決まってるのに。いい加減学べよ・・・


  2.

 盟&ユーリ。
 先に書いちゃうけど・・・・これが、プロローグの例の
「盟様」の後でなかったら、このシーン単にぬるい眼差しで
見守っていればよかったんだけどなあ。

 ていうか、あれだけシリアスな展開があって、自分の
過去とか今の在り方なんかをいやが上にも真面目に考えた
であろう直後に、こういう行動に出られる神経ってすごく
ないか。
 とてつもなく器が広いか、底抜けに明るい(バカ紙一重
とも言う)か、ヤケ起こしてるか・・・さて、盟ちゃんは
どれだろう?


 引用いきます。

「でも……包帯の上に仮面ってのは、そのあたりどうなの?」
「掟だもの」
     (中略)
「愛するって選択肢もなかったっけ? 素顔を見られた相手を」
       (35〜36ページ)


 おーい・・・・・
 ・・・・続けます。

「ふざけているのね」
「そう」
「不謹慎」
「そういう性格」
「私が、殺さないと思ってる……?」
「殺す必要がない……とても残念だけど、きみの素顔は見ていない」
       (36ページ)


 ・・・・おいコラ・・・残念てお前・・・

「ずいぶんと都合のいい記憶喪失ね」
「嘘だっていうなら、遠慮しないで、オレを愛してくれて
かまわないけど?」
       (37ページ)

 ・・・・コラ待てそこの若人!!
 おのれはいきなり何をやっとる!! 気持ちは分からん
でもないが、こんな状況でナンパに走る奴があるか!! 
つかスゴい台詞だなおい!!
 親父の遺伝子だか師匠の薫陶だか知らんが、こんな時に
発揮してる場合かっ。しかもあっさりとかわされたなぁおい!
 人生の修行が足りんぞ盟!!(それなのか人生の修行って?!)


 ・・・と、ここまで何の疑問も持たずに書いてからふと
思った。何でこう唐突に冷静になるのだ私は。
 親父の遺伝子はまあ論を待たないが、師匠の薫陶って何?
 これ、当たり前のように出てきたけど、本当にそうなの
だろうか。

 「デスマスク=女好き・タラシ・遊び人」とは、確かに
星矢同人界において広く人口に膾炙した設定であると
言ってよかろう。これまで見たどこのサイト様でも、
や○い設定でない限りそうなっていたし。
 だが、私が知る限り、原作において彼がそういう性格を
思わせるような言動を見せたことはただの一度もない。
むしろ彼は、祈りを捧げる可憐な美少女を、「うっとう
しい」の一言で滝壺に落とそうとした男なのだが・・・

 ・・・いや、のりP語は口走ったけどね?!
 でもでも、アイドルオタクとナンパ野郎はやっぱり違う
よねえ。

 緑は旧作アニメ版を全く知らないのだが、TVシリーズ
や映画で何かあったのだろうか? ご存じの方、いらした
らご教授願います。

 しかし、もしもこの設定が「イタリア出身」という彼の
プロフィールに対する先入観から敷衍して出てきたもの
だったとしたら・・・ステレオタイプとは恐ろしいもの
である。
(ちなみに彼が料理上手であるとするこれもよく見る
設定は、完全にこのステレオタイプであろう・・・私も
やってるけど<再び、語るに落ちる)


 ・・・・別に、悪いと言っているわけではないのよ。
 元々彼らは私生活もバックボーンも全く描かれていない
連中なのだから、想像力の赴く限り捏造・・・もとい
脳内補完してキャラクターを作り上げることに問題はない
(つーか私も大いにやってる)。
 異様なまでに女の少ないあの世界で、そういう役を
振られる人間がいてもいいだろうし、誰かひとり選ぶと
したらデスマスクは適役だろう。
 色悪から三枚目まで(註1)自在にこなす彼の芸風の
幅広さは他の追随を許すところではなく、タラシでも
何でも出来そうだ。誰よりも似合うし。

 それに素直に考えて、この人は女にモテると思う。
 いわゆる、「悪い人ね」タイプ。アイオリアやミロの
ようなどこまで行っても健全ないい男とは正反対の、
背徳的な魅力があるのだな。ええ、いいじゃないですか
モテモテな師匠。



 とまあ師匠に関する考察は置いといて・・・
(私あの人を何だと思ってるんだろう・・・)。
 盟ちゃんには、一言「こんなところだけ親父に似るん
じゃない!!」と言っておきましょう。
 まあ・・・・テュポンやアテナのびっくり箱的キャラ
クターに対抗するには、これくらい奥深い性格でなければ
ならないのかもしれませんなあ・・・
(間違ってる・・・・何かが間違ってる・・・・)



 「星なき星座」ね。こういう言い方するとかっこいいね。
 実際には何にも見えないだけなんだけどね、髪の毛座(註2)。
特に都会部では・・・本来なら六等星まで見える(正確
には、肉眼で見える一番暗い星を六等星としてあるのだ)
はずなのだが、今時の都会部の夜空は三等星まで見えたら
上等、下手したら二等星くらいまでしか見えないんだから
嘆かわしい。天文ファンには辛い世の中です。
 アークトゥルスやコル・カロリ、スピカなど、周辺の
明るい星は大丈夫だけど、髪の毛座はまず何も見えない
ので、お空を見上げる際には「ああ、あの辺に盟ちゃんの
星座があるのねv」と思うことしかできません・・・・
あ、今の時期はどっちにしても見えないや(これ書いてるの
10月下旬)。


 しかしまあ盟とユーリのコンビ(?)は、結構気は
合っていそうな。ユーリさんのキャラクターははっきり
言ってそれほど立っているとは言えないんだけど(違う?)、
盟と絡んだおかげで多少人間味出ましたね。カップル
にはほど遠いが・・・


 で、ひとつツッコミ。

「テュポンは」盟は、星に呟いた。「ポセイドンをはじめ
とした、地上の支配を欲するオリンポスの神々とは違う。
むしろ……その目的が見えない。それが不気味だ」
「ギガスによる地上の支配、ではないの?」
「確かに、ギガスたちは地上の支配を望んでいるかも
しれない。しかし、彼らが崇めるテュポンの真の<意志>は───」
           (39ページ)

 ・・・だから、ただ単に「暴れたい」だけだって、
あいつは。バカなんだから。
 いや、これは本当にそうだと思う。元々の神話でも、
テュポンってただひたすら意味もなく暴れるだけのキャラ
だから(と言うか、奴は要するに天変地異の擬人化なん
じゃないかと思う)。ギガマキの描き方は、実はもの
すごく正しいような気がする・・・・


   3.

 氷河がちょっと出るだけ。
 青銅諸君が世界各地回って何をやっているのかはまあ
後で分かるのだが、しかし彼らはちゃんと正式に渡航
手続きを取って世界各地に行っているのだろうか・・・・
 気になって仕方がない今日この頃。


   4.

 盟&ユーリ第二ラウンド、in図書館。
 しかし聖域の図書館・・・・ギリシア語さえ読めたら、
私一生こもっても良いなv(<重症活字中毒者)

 しかしここで盟が語っていることを見ると、結局
初登場時の言動が彼本来のものなのかどうかは微妙な
ままなのだな。洗脳されてる状態だったらしいし。
 少なくとも「てゆーか」は素だろうと信じておりますが。
言ってくれないんだけど2巻では・・・・

 ただひとつかなり真面目に突っ込みたいことがある。

「そう……オレには、ギガスたちの信仰の姿がわかる。
あれは自分の命さえ贄に捧げてしまうほどの絶対の精神
支配だ」
            (44ページ)


 いやーねこれだから宗教は・・・て言うか、あんたらも
そうじゃないか。
 精神支配なんて言うと恐ろしいものに聞こえるけど、
命まで捧げるほどの信仰とか忠誠とか、アテナに対する
聖闘士たちとどう違うんだ? 
 盟、君はそう生きたのではないのかね? あんたの父親は?
 別にテュポンとギガスが特殊なんじゃないぞ。


 聖域の「歴史」。この辺りのシニカルと言うかダークな
描き方は、浜崎先生の視線がかなり全面に出てきて良い。
「正義」という美しい言葉の裏に隠されているものを、
きちんと書こうとしてくれているのが正直とても嬉し
かった。ありがとうございます。

 サガの反乱(註3)についてのユーリとの会話も。

「サガそのものは絶対悪ではなかった。でもアテナを弑逆
しようとし、あまりにも多くの聖闘士を死に追いやった
内乱の火種をまいた罪は、罪」
「正史には、その罪だけが書き残される───か。いずれ
にせよ地上の護戦者アテナの輝かしい正当性は、ゆるがぬ
正義に裏打ちされて、かならず完璧な勝利で彩られなく
てはならない」
            (46ページ)

「アテナの正史に必要なのは、聖戦と、その勝利の史実よ。
それが次の時代の聖闘士たちに、戦う勇気を与える。正義
と悪の狭間で苦しむ聖闘士や、敵を哀れむような叙情の
一節を残す必要はない。そんなものは迷いを与えるだけ
だもの」
「アテナは正義だ」
「そうよ」
「それを疑ったら、聖闘士など、なにも成せはしない
なにも守れはしない」
             (46〜47ページ)

 まあ、正史なんてそんなもんです。権力者が作った
「歴史」なんて、彼らの正当性を裏付けるためのプロパ
ガンダの道具に他ならない。
 そんなものをそのまま素直に信じるような人間は歴史
学者にはいない。だから史料批判ってものが大切なのよ。

 しかし、盟ちゃんも言うねえ。ここまでシビアなことが
言えるのは、やはりあの師匠のおかげなのだろうか。
あの人は、正義というものをとても冷ややかな目で見て
いる人のようなので(そういうところが大好きv)。
 しつこいが、緑は疑いもせずに正義正義と口にする人
よりこういう人の方が好きだ。

 そして、盟の言わんとしていることを、ユーリは
ちゃんと分かっているらしい。分かっていて、「本音と
建前」として割り切っているらしい。
 そこまで理解しながら、それでも自分の命を捧げる
ことが出来るのなら、それはそれでやはりすごい覚悟
なのかな・・・と、思わないでもない。て言うかこの台詞、
原作に対するものすごい皮肉にも聞こえるんだけど。

 でもあのね、迷わない人間は、怖いよ。人間は、
ちょっと迷ってるくらいがちょうど良いです。真面目な話。

 ただしこの後、盟ちゃんはナンパ第二ラウンドに走って
しまうのだが・・・

 盟とユーリの名前談義。
 確かに「ユーリ」というのは男名前。ユリウスとか、
そういう名前の愛称ですな。
 しかし、「盟」という名前も音が完全に女名前なのだ
が・・・。「メイ」とカタカナで書くとほら、見事に
女の子としか思えなーい。ユーリさんもその点ツッコんで
やればよかったのに。

 しかし、女なのに男名前なんてくらいのこと、この世界
では別に大したことではなかろう。
 ニコルさんも女性名に聞こえるし。ぱっと思い浮かぶ
だけで、まず言うまでもなくアフロディーテ。女神様の
名前。それから、アイオリアって女名前(というか、
「アイオロス」という神様の名前の女性形。風の神
アイオロスの住む島の名前)だし。サガとかカノンも
女性名っぽい。あと、聖闘士じゃないけどイオも。

 何より盟、あんたの師匠は人間の名前じゃなかったぞ。
 いくら世俗の縁を断つと言っても、何もあんな名前に
することはないと思うのだが。誰だよ、デッちゃんの
名付け親?!



 とりあえず結論として、周りがこういう環境なんだから
「ユーリ」ごときでどうこう言うことはないぞ盟。

 でも、盟ちゃんの名前へのこだわりは、何だか切なくて
いいですがね。他の兄弟の場合親が親だからということに
なるが、彼の場合は自らの意志で選んだ道な訳で。この
名前にはその決意もこもっているのね。

 響きが女名前でも、そう考えるといい名前だな、「盟」
って。・・・・ん? この名前って、父ちゃんが付けた
名前なの? 他の兄弟は多分違うけど・・・・あ、でも、
あんまり名前っぽくない名前という点ではみんな似てる
んだよねこの兄弟。ひょっとしてみんな父ちゃんが付けた
名前という可能性もあるのか?(もしそうだったらすごい
センスだ光っちゃん)

 そしてどこまでもどうでも良いが、私は「一輝」という
名前を聞くとどうしても「北」という名字を付けそうに
なる・・・・。
 この字で「いっき」と読ませるのってかっこいい
(「かずき」とかなら珍しくないんだろうけど)し、弟の
名前が「瞬」で、実にふたりの性格が現れていていい名前
だとは思うのだが、これってマズいよねうん。


 ・・・・盟ちゃんの髪の色は、師匠への敬意の現れだ
そうです。ありがとうもうお腹いっぱいです。
 それにしても、どこぞの似非クールな水瓶座さん以外の
人が、「わが師」と呼ばれる日が来るとは思いません
でしたマル、と。
 っていうか、なんでここまで浜崎先生に気に入られて
いるんだ、シチリア育ちでサガの乱に荷担した邪な聖闘士で
銀髪の素敵なあの御方は・・・

 ・・・・・・一ファンとして厚く御礼申し上げます。
ありがとうございます。ありがとうございます浜崎先生・・・!!!