とえーと、前回の内容についてちょっと修正、と言うか
補足を。

 註3にちらっと書いたギリシア神話における時代区分
ですが、4番目の時代は「暗黒時代」というよりは
「英雄の時代」という方が多分通りが良いです。
 暗黒ってどこで読んだんだろう、私。
 どうでもいいですが、この手の「世の中だんだん悪く
なってるんだよ」という末法思想的考え方って、どこの
国にでもあるんですね・・・


  <ii Sicilia>

 ふふふ。章タイトルが「シチリア」ふふふふふ。

 ・・・これだけで喜べるようになるなんて、人を好きに
なるって幸せなことですね。
そうです、それだけで夜中に自転車に跨って書店にダッシュする パワーも沸いてくるのですウフフ

 私、書店員なのですが、店で「中世シチリア王国」
(講談社現代新書)なんぞというタイトルの本を見ただけで
顔がほころぶ自分を感じますから。何か違うかもしれませんが。
 その他にも、「アテネ書房」「あぽろん社」「星座の会」
「星雲社」「ブロンズ新社」「ペガサス」「ペガサスランド」
「南雲堂フェニックス」「海竜社」「ありえす書房」「レオ
企画」「シオン出版社」(註:全て実在する出版社の名前)
などといった名称に密かに心躍る日々。
 出版社名簿を見ながらへらへらしている怪しい書店員が
いたら、それは私かもしれません。
「辰巳出版」ってのもあったと思うんですが…ヘラヘラします?

 しかし、小林多喜二の「蟹工船」(岩波文庫)でにやけて
いる自分に気付いたときは、さすがにこれは人としてまずい
んじゃないかと真剣に思った・・・・
このタイトルで、デスマスクが額からビーム出して 驚いたか小僧どもーっ!!って叫ぶシーンを
想像するのはマズイ通り越してヤバイと思った


   1.

 盟と星矢の会話が好きだ。男の子同士って感じで。
 考えてみれば、原作であのメンバーのこういう普通の
会話って、出てこなかったし。
てゆーか思い起こせば星矢(特に原作)って、ただの雑談をするシーンも
 無かったような…とことんまで所帯臭さを捨てた世界だ(;-;)


 そして盟ちゃんの「てゆーか」発言。うーん、こんな
今っぽい(?)物言いをするキャラクターって、出てこ
なかったなあ。新鮮だ・・・。
二巻では言ってくれなかったのか悲しい…なんかクレーム入ったのかなぁ

 盟ちゃんって外見も多分今風だし
ワルガキ風とかヒマ風とか下町もんじゃ風味じゃなくて裏町とか

密偵やってて一般社会にもなじめるわけだし
この辺の器用さはやはり師匠の影響なんだろか。
多分他のご兄弟には無理だろう。
 いや、この時点ではまだ盟の師匠の設定は不明のまま
なんだけど。
他の兄弟達よりは、修行中でも俗世の垢に塗れた比率が高いと思う…いい、意味で

 しかし、修行地がシチリアと聞いた時点で彼の師匠と
してあの方を想定した読者は、全読者の何割に達するの
だろう? あの方、原作でのさんざんな扱いの割に結構
人気は高いらしいが・・・(だからこそか?)
 あの方(そう言えば本文中名前出なかったな、まあ本名じゃないだろうけど)の修行地が
シチリア島であるというのがどのくらい人口に膾炙した設定
なのかが知りたいところ。
盟の章時点で8割確定、浜崎氏のインタビューで「好きなキャラは蟹とラダ」
といわれた時点で9割9分当選確実でした先生


 ま、何にしても、おいしい場所で修行してくれたものだ。
 ちなみに私は他に考えられなかった・・・既に病膏肓に
入ってる
かもしれん。

 ・・・・いい加減ちょっとは真面目なことを書いて
おかなければ人格を疑われそうなので、しばらくシリアス
行きます。

 ここで語られる彼らの過去・・・というか出生の秘密は、
聖域のあり方、聖闘士の存在、アテナの正義といった
この世界の根本原理に疑問の影を落とすものである。

 13年前の悲劇の中で、必然だったのはアイオロスが
アテナを連れて聖域を脱出したところまでなのだ。
 そこから先、アイオロスが城戸光政と遭遇したのも、
光政がこんな荒唐無稽な事情を信じた(普通、「女神」
とか言われた時点で引くな、まともな人間は)のも、
光政に100人もの子どもがいたのも、そして光政が
その子どもたちをアテナのためにいわば人身御供にしよ
うと考えたのも、全ては偶然なのである
(・・・普通考えないよな。たとえ女神云々は信じても、自分にちょうど
子どもが100人いるからこれ使おう、という発想にはならんよな)。


 こうして並べてみると、しみじみと城戸光政が人非人
でなかったら成立しなかったんだな、この話。どこから
順番にツッコむべきなのか、今真剣に悩んだぞ。問題
あるのはアテナや聖域以前にあのジジイじゃないのか。

 ・・・また話が逸れそうになったので修正するとして
・・・まあ、斯様に奇特・・・というか特異というか
外道というか、とにかく得難い民間人協力者を巻き込み、
その子どもたちを踏みつけにして守られてきた聖域の
「正義」。

 これは、正義という言葉の怖さを突きつけるような
エピソードではなかろうか。
 サガは自分の「正義」のために上司と同僚を殺し、
主君であるはずの生まれて間もない赤ん坊を殺そうと
した。
 そして光政もまた自分の「正義」のために、自分の
子どもたちを犠牲にした。・・・・また話が逸れるが
このことがなければちゃんと面倒見るつもりで作った
のだろうか。100人も。

 正義とは、それほどの犠牲がなければ守れないもの
なのだろうか?
 だが、それほどの犠牲を正当化してしまう力を持って
いるのが「正義」という言葉である。誰がそれを定める
のか、分からないままに。

 当事者・・・というか立派な被害者ナンバーワンで
ありながら、まるで疑問を持っていないらしい某天馬君
には、頼むからもうちょっと考えてもらいたいと思う
・・・・(だってこいつ・・・ほんとに気軽に「正義」
って言葉使うし・・・)

 個人的に、はっきり言って嫌いな言葉なので、原作内
でも使われるのに抵抗があったんだけど、こういう形で
それを書き出してくれた浜崎先生に、かなり真剣に感謝。

 しかし、「アテナの大いなる愛」って・・・・矢刺さ
れたり柱に入ったり壺に詰められたりするののこと? 
まあ、いいけど・・・



 あんまり真面目になると(いや、これ、真面目か?)
それはそれで私ではなくなる気がするので、このへんで
元に戻ります。

 ここで盟の「<サガの反乱>で、オレの師は命を落と
した」
という証言により、私は確信した。間違いない。
ヤツだ・・・・さて、ここで彼に思い至った読者は何割
くらいいるだろう・・・?

 そして語られる幼き日々の想ひ出。
 「馬におなりなさい」事件って・・・・あの、やっぱり
あれはそれだけのインパクトありですか? 語り草です
か? 無理もないけど。
 しかし、邪武の「一角獣座」に大笑いする盟ちゃん、
結構ひどい。いないところで言いたい放題言われてるぞー
邪武。
 いや、まあ、私もユニコーンの伝説を知ったときはひとり
爆笑したもんだが・・・(ごめん邪武)(蛇足ながら註1)

 車田先生はあのエピソードを、あの伝説をふまえて
お描きになられたのだろうか、やはり・・・だとしたら
・・・・もしや邪武はあのためだけに一角獣座を振られた
のだろうか・・・・不憫な。


 この辺りの物言いから見ると、かなり遠慮のない口の
利き方をする性格と思われる盟。やはり師匠の影響か。

 てゆーか(真似てみました)、一輝のことをああまで
身も蓋もなく「団体行動のとれないやつと言い放つ
人間がいるとは。
 しかも、「ガキの頃から」そうだったのか一輝!! 
「オレは群れるのが嫌いだ」は別にグレてからのことでは
なかったのか!!
 ・・・ちょっと、兄さんに対する認識が変わってしまい
ました。


 ところで、このとき飛行機操縦してたのはニコルさん
・・・いつ免許取ったんだ?
 もっともらしい説明されてるけど、一般社会にちゃんと
した戸籍がなければそんなもの取れないと思うんだけど。
 まさか、偽造? 正義の聖闘士がそれはないわよね?
 そもそも自動車免許ならともかく、ティルトローター機の
操縦免許なんて相当特殊なものだろうに、よく持ってたな。
もしや、アテナが足に使うつもりで取らせた、とか・・・?
義務教育とかも気になるのよ;^^戸籍はグラードに組み入れると しても、学校ばかりは易々と
詐称出来まい…もしかして100人の 子供たちも「留学」という名目で出したのなら凄いなぁ…
 二コルさんはちゃっかり、グラードの金で大学とか出てそうだ


 そしてこれに誘発されて思い出した素朴な疑問。
 十二宮編のとき、星矢たちが闘っている間麓で待って
いたのは、胸に矢刺されて倒れてた沙織さんと、横で
狼狽えてた辰巳さんと・・・さらにもうひとりいたはず
なんだよな、彼らをあそこまで日本から運んできたはずの
パイロットが。
 その人、どう思ってたんでしょうね・・・・て言うか、
何してたんでしょうね・・・
1.着陸後すぐに離陸
2.聖域側が用意したパイロットだった
3.実は自動操縦でパイロットは飾りです
  偉い人には分からんのです。



    2

  シチリア潜入。空から海へダイビングとは、さすが
聖闘士。しかし、いくら非常事態宣言が出て島の住民が
避難しているとはいえ、周りにも島はあるんじゃあ・・・
そんなところで飛行機からダイビング。目撃されたら
騒ぎになるような気が・・・
マジ突っ込みしますてぇと、星矢たちが落っことされたのはおそらくタオルミーナ沖(10-15キロくらい?)
こちらとかこちらのシチリア地図見ますと、タオルミーナ沖にこれといった島は無いため、通りすがりの
船でもない限り目撃者は現れないと推測しますです


 シチリア島の説明を読んで、とりあえずシチリア
行きたくなってしまった。
 ワールドワイドな(それどころじゃないかも)規模で
展開する作品にはまったおかげで、行きたい場所が増えて
困る今日この頃。
 ギリシア・アテネはもう当然として、イタリアはソレントにも
行ってみたいし(何考えてるか一発でおわかりでしょうが私は海闘士ファンだ)
中国・廬山とか観光地結構多いよね
・・・どれひとつとして行ったことないけど。
廬山もシチリアも観光地はもちろん世界遺産&リゾート地なのですよ;^^
特に廬山て、中国屈指の別荘地で毛沢東や江沢民の別荘まであるそうな
…紫龍も師匠の性質によっては遊び人になっていた可能性大(笑)


 ただ、シベリアだけは行きたくなることはないと思う
・・・ごめん氷河。
デスクィーン島やアンドロメダ島も行きたくなる事はないと思う…場所がわかっても

 そして相変わらずの無知ぶりを遺憾なく発揮している
星矢ちゃん。
 シチリアといえばマフィアって、お前それはあんまり
だろう(盟ちゃんの師匠に聞かれたらシメられますな)。
 て言うか、あんな世間から隔絶された世界で生きてる
くせに、どこでそんな偏った先入観を仕込まれた?
まー、映画「グランブルー」でも、ヒロインがシチリアに行く口実としてマフィアを挙げていた位
ですから、世間一般の認識なのでしょう;^-^


 盟がちらっと言っていることからも、彼の師匠がエトナ
山の封印について相当詳しく知っていたらしいことは確か
らしい。
 まあ、当たり前だな、地元だし(修行地はもちろん、
彼の出身地は「イタリア」としか発表されていないが、
オリーブの樹云々の素敵すぎる発言から出身もシチリア島
と私は勝手に決めた。「生まれる」って言ったしね)。

 しかしだとすると、どこまで知っていたかという細かい
ところが非常に気になるのが当然の人情というもの。
 封印されてるのが何者かくらいは普通にギリシア神話の
知識があれば分かると思うが(て言うか、この時点で青銅
ふたり、分かってなかったのか・・・?)、その先はさて?
 例の聖衣のことまで知っていたか否かで、実に様々に
妄想が広がってくれるんだけど。どうなんですか師匠?
盟には聖衣でわなく「アテナの封印」といってたよーですが何処まで知っていたのかな…
まさか全部サガの知識鵜呑みってことはないよな(汗)




   3.

 さて、そしてお約束通りに出てきてくれるギガスの
みなさん
ですが。

 いろいろ言いたいことがあるので列挙しておきます。

「たった三人か。聖闘士は、よほど人手が足らぬとみえるな」
                  (89ページ)


 ええそりゃもう、半分くらいは身内の不始末で減った
んですけどね(サガ・・・・お前罪重いぞ・・・)。
 明言はされてないけどこの話の設定は多分ハーデス編
後。黄金は現在、一人もいない状態のはず。

 だが、考えてみれば星矢たちは、これまでもこの程度の
人数で戦ってきたのだ。最下級(のはず)の青銅ばかり
4人で、聖域も海底も敵地の真っ只中に突っ込んだので
ある。
 冥界はそうではなかったけど、バラバラに動いている
聖闘士同士の連絡はまるっきり取れてなかったようだし。
 おそらく、彼らの辞書に組織戦とか連携とか効率とか
いう言葉はない。

 そもそも、戦略がどうしようもなくまずいのは、アテナ
の癖(・・・と言うかやっぱり何も考えてないんだと思う
けど)である。彼女の戦い方には戦略も戦術もまるでなく、
重視されているのは個人の戦闘能力ばかりなり・・・・
それでも戦いの女神か、アテナ・・・・

 と言うわけで、その点に関して不安を感得していた
人間は多分聖闘士サイドにはいない。て言うか、そんな
ことに不安を感じるようなまともな神経があれば、最初
からもう少し多めに人員を動かす。
 このとき動いた聖闘士がたった2人だった理由は、
ニコルとしては多分この時点でいきなり戦闘に突入する
とは思っていなかったから、なのだろう。
 「まず敵情を探る」と言っていたし、敵情視察だけの
つもりだったから案内役含めてわずか3人で平気だった
のだろう。

 ・・・・言わせてもらうが、甘過ぎ。こっちは単に
視察のつもりでも、乗り込む先は敵の本拠地、しかも
向こうには人質がいるのだ。敵が少なくとも4人いる
ことも分かっており、その上で人質救出も考えなければ
ならないのだ。頼むから、もうちょっと慎重を期して
ください。
 しかもこのときの人選、その場にいた奴が「俺が行く」
と言いだしたからそのまま「じゃあよろしく」。
 ニコルさーん!! 助祭長ー!! いいのかそんなこと
で!! なんだかんだ言って、戦略のてきとーさが結局
アテナと変わらないぞ! これって、聖闘士の共通の癖
なの?

 それとも、本当に他に動かせる人間がいなかったんだ
ろうか・・・それも怖い話だが。危機管理態勢がなって
ないと言われても文句言えないぞ。


 次。

「最下級の、青銅なんぞをよこしおって!」
              (92ページ)


 はい、しかしながら見た目で判断してはいけないの
ですね。
 聖衣は確かに最下級だけど、そこのふたりは実力的には
最強クラスなのだよ。特に、ピンクの美人ちゃんは。
 実戦経験も豊富だし、黄金がいない以上、下手な白銀より
遙かに強いはず。

 ・・・・考えてみれば、敵地のど真ん中に突入する以上、
遅かれ早かれこういう展開になるのは目に見えていたわけ
で・・・上で突っ込んでるけど、ニコルさんひょっとして
考慮済みですか?

 こっそり潜入して敵の戦力や周辺の様子を探るだけなら、
あの人選はいかにもまずい。兄さんさえ絡まなければかなり
冷静で頭の回転も速い瞬はともかく、星矢はバカじゃあ
ないんだろうけど基本的に考えるより先に体が動く質。
 こんな切り込み隊長・・・・と言うより特攻隊員タイプを
よりによって敵情視察役なんてと思ったけど、もしも敵と
遭遇してしまったらこの方がいいわけだし。

 兵は巧遅より拙速を尊ぶ・・・・そういえばこいつら、
これまでもそれでやってきたんだった・・・・・

 すみません。ニコルさん、謝ります。この人選、実は
この上ない適材適所でした。上で罵ってしまいましたが、
あなたは偉い。いーかげんなように見えて、策士だったん
ですね・・・
 地元の軍隊に手回して騒ぎを大きくしないように取り
はからい(しかもグラード財団利用)、なんて裏工作も
ばっちりだし。
 性格的にはリーダーより参謀タイプの人材と思われます
が、はっきり言って、非常に筆者の好みです。


 もうひとつ、エンケラドスの「罵声」の威力。

 星矢と瞬と盟、体重合計して160キロはあるだろう
(星矢が53、瞬が51、盟は不明だけど・・・こいつら
より軽いことはないだろう)人間三人を吹っ飛ばす「声」。

 ・・・・・ここで私が理系の人間ならば、これに必要な
エネルギーから声の大きさを計算したりといった『空○
科○読本』的楽しみ方が出来たのであろう。
 が、残念ながら私は高校一年で数学が分からなくなって
以来(要はバカなんじゃねーか)、化学はモル濃度で、
物理は加速度運動で挫折した文系人間。
 地学ひとつを頼みの綱にセンター試験をごまかした
(白状します。天文が得意だったんです。星が。人生何が
役に立つか分かりません)身なので、とてもそんなことは
出来ないのだった・・・ちっ。つか、誰か計算してくれ
ないかしら・・・

 ただ、どんな理系音痴の文系人間にも確実に分かる
ことは、人を吹っ飛ばすようなエネルギーを持つ声を
聞かされたら飛ぶ前に確実にショックで死ぬだろうと
いうことと、そもそも傍にいる味方も死ぬだろうという
ことである。
 音は全方位に伝わる。そして大きさは距離に反比例
する。ソレントやオルフェの攻撃にも思ったが、この
問題点を彼らはどう解決していたのだろう・・・・
(小宇宙か? 全部それか?)
オペラ歌手とかは、声で蛍光灯割る人も実際にいますねぇでもそういう声って
「ソプラノ」だったとおもふ…
エンケラドスの裏声…イヤン、別な意味でそんな声に吹っ飛ばされたくなひ…