6.

 お次は星矢ちゃん登場。
 ああ、きっちり埋まりながらも自力で這い出すところが
彼らしくて愛しいなあ。本当に、こういう泥臭いことを
爽やかにこなしてくれるキャラだわ。

 しかし、敵がせっかく埋まってくれてるんだから、
キマイラさんもわざわざ這い出すまで待たなくてもいい
のに。
 埋まってるところを上から踏むとか、上に岩でも置い
ちゃうとか、もしくは這い出す途中を集中攻撃とか、
もっと楽な攻略法がいくらでも・・・って、外道か私は。
 でも、蟹師匠なら「宋襄の仁」という言葉を教えてくだ
さると思う。 リンク先、めんどくさがってゴメンナサイ

 ちなみに、もういちいち引用しないが、“合成獣”の
キマイラと星矢の会話もまた、ずれにずれてまともに成立
していない代物であった。
 ・・・まあ、星矢だからなあ・・・。


 ・・・盾持ってる相手に真っ向から攻めかかって、カウ
ンター食らう星矢ちゃんが本気で愛しいです。
 お前はほんと、もうちょっと考えて行動しろ。普通、
防がれるだろ・・・。

 そして吹っ飛ばされたあげく地底湖に落ちてしまう星矢
ちゃん。こういう派手なやられ方は、やはり彼の十八番
ですね。

 おまけに

「さっきから顔を洗いたいと思っていた……そういや、
ここ三日くらい風呂にも入ってなかったし」(115ページ)


などと余裕かまして、可愛いなあ君は。
 三日くらい風呂入ってないって、そんな台詞他のメンバー
は口にできんだろうしなあ。いや、一輝なら一ヶ月とか軽く・・・げふ
瞬ちゃんは、朝シャワーまでする綺麗好きさんだよーっ
 というか、こういうこと口走って許されるキャラって、
青銅5人の中では彼だけでしょう(ファンの方、違います
でしょうか?)

 いずれにせよ、教皇の間には下手な銭湯より遙かに
でっかい風呂があるのだから、無精な聖闘士どもに開放
して衛生観念というものを身に付けさせるべし。
 風呂は入れ、星矢。日本人として。
 しかし、ギリシアにあんな湯船に浸かるような入浴の
習慣ってあるんだろうか? サガの趣味なのかな、やっぱり。
検索してみて初めて知りましたギリシャの共同浴場習慣はなんと紀元前5世紀から
・・・へぇへぇへぇへぇ



 閑話休題。はい


 何となく星矢を好きな人の気持ちが分かった気になり
つつ、キマイラである。

 キマイラ、英語でキメラ。遺伝子操作などで複数の
生物を掛け合わせて作られた合成生物をキメラというが、
その語源となったのがこいつである。

 いわゆる「異形」には大きく分けて三種類ある。
 「欠落」、「過剰」、そして「合成」・・・なのだ
そうだ。
 要するに、「あるべきものがない、または少ない・
小さい」(和製妖怪でいうとのっぺらぼうとかですね)、
「その逆に多い・大きい」(ろくろっ首とか)、そして
「色々混ざってる」。

 この「合成」タイプ、多分一番多い(作りやすい
から?)のだが、その元祖ともいうべきキマイラ。
 ちなみに和製合成獣の元祖はだろう。あとこれとか  これはどうなのよ??

 そんなことはどうでもいい。はい・・・
 キマイラである。
 上半身は獅子、下半身は山羊、尾は蛇───とここでは
書かれているが、背中に山羊の頭が生えてたり、尾が蛇の
尻尾ではなく頭だったりする姿の方がポピュラーであろう。
 それはともかく、この名前を素直に見ると、こいつ、
女・・・? つかメス?

 で、成り行きでこの怪物を退治することになったベレ
ロポントス(余談だが、怪物退治をするギリシアの英雄
には、この手の流されタイプが多いような気がする)が
女神アテナに助力を願い、応えた女神が貸したのが天馬
ペガサスである。正確には、ペガサスの居場所教えて
馬具貸しただけだが。

 ちなみにベレロポントスはペガサスに乗ってキマイラを
退治し英雄になるが、その後思い上がって天に昇ろうと
企て、神々の怒りに触れてペガサスから振り落とされて
盲目になるという末路を辿った。
 言いたくないが、かなりアホだと思う、この男・・・
イカロスより救いようなくバカだ。

 というわけで、このふたりが当たったのはきっと偶然で
はない。
 肝心要のはずのベレロポントスがいない(笑)が、神話の
時代からの因縁があるに違いない。
 でもって、神話の流れから行くと勝負は最初から決まって
・・・いや、それは言ってはいけませんね。


 しかし星矢、キマイラの姿とか彼(・・・ん? ここに
出てくるキマイラは雄なのか?)がテュポンの子である
ことは習っていたようだが、その伝説に自分が登場する
ことは思い出したんだろうか?
 この子のことだから、きっと気付いていないような気が、
ものすごくする。

  7.

 ・・・うまいこと落盤に巻き込まれず、地下洞窟に
入り込んだニコルと紫龍。地上にいて落盤に遭いながら
どうやって行き着いたのか知らないが。
 紫龍のこの辺の要領の良さは、おそらく青銅兄弟中
最も環境の良い修行地を引き当てたくじ運にも通じて
いると思われ(強制終了)。


 そして───いきなり殺されるニコルさん!! 

 ・・・・えーと・・・このシーン、間違いなく悲劇
なのであまり突っ込みたくないのだが、ニコルさんって
絶対、戦士としてはあんまり強くないと思う。
 オデイオンでのこともあるし、確信してしまった。
参謀タイプなんだろうな・・・
ニコルさんとかユーリさんて、全体の印象からするに「事務系」の聖闘士なんだなと
思いました。まぁ、聖域を一つの社会として見れば、戦闘要員だけでは成り立たないので
彼ら見たいな事務系もとい「文科系」の人材も必要なのだろうと(強制終了)


 しかし、ここは敵地の真っ只中である。
 いくら倒れてる仲間に出くわして動揺していたから
って、ここまであっさり不意突かれないで欲しい。
緊張感というものはないのか?! 

 ちなみに、「どうして若い聖闘士は、こうも血気盛ん
なのか」
って、この突っ走り癖は間違いなくアテナの
薫陶です。


 しかし、とりあえずこのシーンはシリアスなので、
真面目に書きます。
 盟に彼と髪の毛座の宿命を語り息絶えるニコル・・・
うーん、哀しい。
 盟の存在って、本当にアテナと聖域の掲げる「正義」
に対するアンチテーゼに思える。「正義」も「悪」も
きれいごとではなく、むしろ「正義」に身を置く者こそ
真に残酷な存在なのだ。


「それが……お前に、どのような過酷な宿命を課すこと
になっても。私は、お前に命じなければいけない。盟よ
───ああ。思えば、私の星の宿命は、この言葉のために
あった」
  (略)
「テュポンを封じろ」        (123ページ)

 ニコルの星の宿命。
 祭壇座───祭壇とは、「犠牲を捧げるもの」。
彼もまた、実に残酷なさだめを背負っていたようだ。
 いろいろとツッコミ入れましたが、ご冥福をお祈りします。


 そして。
 “百頭龍”のラドン。
 神話においてはラドンは別に敵キャラじゃないので、
この扱いはやや微妙な気がするのだが、まあ多分紫龍と
の絡みで出されたのだろう。
 ケルベロスは原作でふたり(?)出ちゃってるし、
ヒュドラは市が譲らないだろうし獅子はアイオリアが
いるし。
 どうでもいいけど元素のラドン(註2)とは何か関係
あるんですか?(あったら何だという気だ)

 しかし考えてみれば、このラドンを元にした星座で
ありながら、紫龍のドラゴンは思いっきり東洋系の「竜」
である。はっきり言って、別物でございましょ? 
まぁ、88星座の「龍星座」はラドンを指しているのですが・・・以下続く
 これだけ違うなら、星が同じ云々なんて気にする必要も
ないと思うけど。て言うか、「ドラゴン」を「竜」と訳す
のもそもそもどうなんだ? 一口にドラゴンと言っても、
色々いるのに。


 ・・・紫龍のいちいち大仰なリアクションが、何とも
言えず彼らしくていいですね。

 しかし、ここはやはり言うべきかと思うのでツッコんで
おく。

 お前ら、すぐそこに敵がいるってのに兄弟愛に浸ってる
場合か!!
 私がラドンだったらふたりが行けの行けないの言い争った
りあげくに平手打ち(うわー青春だー)したりしてる間に
まとめて殴るぞ!! 蟹なんかこの際どうでもいいだろう
が!!(コラ!)
これはあれか?合体ロボット系アニメで「合体中は攻撃しては
いけない無言のおやくそく」の類でやんすか?


 て言うかここで敢えて名前を呼ばずに「蟹座の黄金
聖闘士」
と言っているのは何故? やはりこだわり?
あるいは、放送コードにひっかかるのかもしれない(何が?)

 ちなみに盟、君もニコルさん呼び捨てか。やっぱり
ちゃんとさん付けしてるのは瞬ひとり・・・
「盟の章」では助祭長と呼んでいたのに・・・盟、2巻になってから基本的に
口の利き方良くなったのに何故ここだけ;^^

 アテナ、やっぱり一度「職場のマナー」とか「正しい
敬語」とかの講習、受けさせた方がよろしいですわよ。
そそ、正しい「デスマスク調」を…じゃなくて!!「ですます口調」ですね


 まあ、とりあえず素直に感動しつつ萌えられる素敵な
台詞があるので引用。

「あの人は」盟は心を明かした。「たとえアテナに反逆
した邪な聖闘士であっても、オレの師だ。そして、お前
は血を分けた弟だ。それは秤にかけるものではない」  
                  (127ページ)


 じーん・・・・・。

 感動しつつ、しみじみと思う。

 ラドンさん、あなたこの場にいらっしゃいますね?
 ほんとに、こんなこと語り合ってる間にさくっと殺っ
ちゃえよ、こんな奴ら・・・。あの、もしかして、話が
終わるまで黙って待ってました? なにゆえ? あんた
まで「宋襄の仁」の口なんじゃあるまいな。こんどはYahooで

 盟がいなければテュポンの封印ができない、みたいな
ことを紫龍ははっきり口にしている。
 敵の目の前で普通そんな重要な手の内を軽々しく明かす
か? というツッコミはまあ置くとして、ラドン、こんな
大事なこと知ったんなら、突発的兄弟愛劇場なんぞ観賞
してないでさっさと始末せんかい。

 うーむ、ラドンさん、実は黄金聖闘士に匹敵するほど
のんきな奴ですか・・・?温泉の成分にもなってるからねぇ・・・(意味なーし!)

「行け」
「───行かせてもらう。オレは、是が非でもテュポン
のもとに行かねばならない」
「ふ」

 ざっ───
“百頭龍”のラドンが、ふたりの前に立ちはだかった。

「行かせると思うか」
「行かせてみせよう……この龍座の紫龍が」     (128ページ)



 うーん、やっぱり紫龍って自覚なしにナルシーだなあ。
 他の青銅は、自分のことをこんなふうに「この+固有
名詞」なんて呼び方、しないもんな。「このオレ」なら
ともかく、「このペガサスの星矢」とか、「このアンド
ロメダ」とか(あ、いや、瞬は確か初期にちょっとだけ
言ってたけど)。

 皆無とまではちゃんと確認してないから言い切れない
が、少なくともここまで連呼する奴は紫龍だけだ。
こういうところに性格って出るんだねえ(笑)。

 こういう自意識過剰な言い回しは黄金なんかはみんな
割と普通に使うんだけど、無自覚にやってそうなのは
紫龍だけというあたりが何とも。
 紫龍って、まともそうに見えて結構危うい部分のある
奴なので、その辺を掘り下げるとえっらいダークな話も
書けるかも・・・なんぞと最近考えている緑である。(やめろ)


 すみません話逸れまくりました。
 とりあえず・・・ラドン。
 あんたまで、こんな自己陶酔入ったふたりの世界に付き
合ってどうする。「何浸ってんだボケ!」ぐらい言っても、
少なくとも私は許すぞ。
 実はのんきと言うより、ノリのいい人(?)なのかしら
・・・ま、もういいけどね。


 思い入れ(+演出)たっぷりに廬山昇龍覇が炸裂した
ところで、第三章に続く!!

 しかし今回時間かかったなあ・・・シリアスな展開だと
書きづらくって(言い訳禁止)

 次回、ついに全てが明らかに!! ・・・なったっけ?



  (註1)テュポンの子どもたち・・・というかケルベロスペット説

 テュポンは自身もギリシア神話界最大の怪物だが、
エキドナと組んで(?)作った子どもたちもまた名高い
怪物が揃っている。ギリシア神話において、怪物の
総生産元状態になっているカップルなのだ。

 ニコルが説明している通り、ネメアの獅子、レルネの
ヒュドラ、地獄の番犬ケルベロス、プロメテウスの肝臓を
貪った大鷲、もちろんヘスペリデスの園で黄金の林檎の
樹を守っていたラドン、キマイラ、オルトロスなどが彼ら
の子とされている。
 ネメアの獅子はエキドナとオルトロスの子とする説も
あった気がするが。

 しかしこうして並べると・・・・このうち、ネメアの
獅子とレルネのヒュドラ、大鷲、オルトロスがヘラクレ
スに倒されているのだな。ラドンも殺ったって話もあった
ような。
 うーん、ヘラクレスの方がよっぽど怪物だな。

 しかし、色々いるうち、仮にも英雄の敵として派手に
活躍しているのはそのネメアの獅子とレルネのヒュドラと、
後はキマイラくらいなのである。

 オルトロスは脇役で出てあっさり倒される役回り
(ゲリュオンの牡牛自体、子ども向けなんかで簡略化
された話だとしばしば割愛されてるエピソードだし)
だし、ラドンはニンフたちに可愛がられて平和に番犬
(番龍というべきか)やってるし、大鷲は・・・やっ
ぱりゼウスの命令でプロメテウスいじめてたのか?


 一番問題なのはケルベロスだと思う。こいつは一応
地獄の番犬なのだが、実はその適性にはかなり
問題があるのだ。

 冥界は本来、生きた人間は決して入ることが出来ない、
そして一度入ったら決して出ることは出来ない場所で
ある。
 その割に行って帰ってきた奴が結構いるのだが、彼らは
全員ケルベロスを手懐けて通してもらったわけである。
 中には英雄でも何でもない、アフロディーテの嫁いびりの
一環で冥界に行かされたプシュケなんてのも含まれる。

 で・・・琴の音で懐柔したオルフェウスのような変わり
種もいるにはいるが、常套手段は「食べ物を与えて食べて
いる間に通る」
であったらしい。
ここによると、蜂蜜とケーキが好物だとか・・・甘党かYO!!

 要するにこいつは、自分の主人以外の手から平気で
ものを食うわけだ。番犬として致命的である。
 にも関わらずクビにされる様子もないところから見て、
実は番犬としての働きは期待されていないのではないかと
思われる。 きっとかわいい目をしていたんだよ どぅーするアイフル★

 ヘラクレスの難行の最後のひとつがこの「ケルベロスを
連れてくる」だった。
 で、冥界まで来て「ケルベロス貸してください」と言う
ヘラクレスに、ハーデスは割とあっさり「素手で取り押さ
えるならいいよ」と許している。ひょっとして、危険視
すらそれほどされていないのでは・・・?

 どうも、ケルベロスは見た目が怖いことから亡者を
脅すために一応番犬っぽい扱いもされているが、実質は
ハーデス様のペット状態だったのではないか・・・と
いう気がひしひしとするのだが。違うでしょうか。
 いや、むしろ誰か違うと言ってください・・・(笑)
いまサーフしていたら、ハリーポッターではかわいいペット役として
出てくるみたいですケルベロス・・・とするとやっぱり(汗)



 蛇足として、オルトロスとエキドナの子であるスフィ
ンクスだが。

 ギリシア神話とは違うところで知名度高そうな彼女は、
オイディプス王の物語に登場する。
 彼女は道行く人に「朝は四本足、昼は二本足、夕暮れ
には三本足で歩くものは何か」という謎(客観的に見て
アンフェアだと思うんだが)を掛けては、答えられない
者たちを食い殺していた。
 ちなみに言うまでもないが、人類史上最も有名ななぞ
なぞかもしれないこの問いかけ、答えは「人間」である。

 そして、何がしたくてこんなことを続けていたのかも
謎なのだが、その謎をオイディプスにあっさり解かれた
途端自殺してしまったというのも意味不明。
 何がしたかったんだ、ほんとに。分からん。彼女の存在
意義って一体・・・?
 
 
  (註2)ラドン
 Radon。元素記号Rn。
 元素番号86,元素量222、原子半径2.4A。
 融点摂氏−72度、沸点摂氏−61.9度。

 元素周期表の一番右端(18系)に位置する、イオン化
傾向0の元素である。いわゆる希ガスっていうんでしたか。
って、そんなこと調べてどうする、自分・・・。

 発見者はドルン、1900年のこと。
 天然放射性元素らしいが、名前が何に由来するのか
までは分からなかった。無念。
 もっとちゃんと調べたら分かったかもしれない・・・
ただし、神話の百頭龍はLadonだから明らかに違いますな、
はっはっは。

 しかし、化学の教科書開くなんて高校二年生の時以来だわ。
 私、物理も化学もあれ以来触れないようにしてきたから
なあ・・・・(遠い目<要はバカなんだってば)。
 すみません、こんな理科系音痴(文科系なら詳しいのかと
いうツッコミはなしの方向で)がこんな註釈書いちゃいかん
ですね。