7.

 紫龍を召集したことで、ニコルに抗議するアテナ。
 ここの会話、ツッコミどころ満載なので引用いたします。

「ニコル……あなたは知っているはずです」
「紫龍が、盲目であることですか」
             (62ページ)


 それは別に、障害にならないんじゃなかったのか?
 つーか、こいつのことだから、またいつ何時何の拍子に
視力回復するか分からないし・・・

 次。

「紫龍は五老峰に戻って、ようやく平穏な暮らしをはじめて
いた」
「───確か、春麗という娘がいましたね。紫龍の師、
かの五老峰の老師の養女とか」
「戦いから離れて、互いに想いを通じる娘と、田畑を耕し、
安らかな毎日を送っていたというのに……」
              (62ページ)


 へえ、紫龍と春麗ってアテナ公認だったんだ・・・。
 まあ、あのふたりは既に夫婦で出来上がってるぽかった
からなあ。

 でも、大切な人がいるのは紫龍に限らないはず。
 既に亡くなっている氷河のマーマや、どこほっつき
歩いてんだか分からない(そして弟も積極的に探す気は
どうやらないらしい)一輝兄さんはともかく、この話
ではカケラも触れられていない星矢の姉さんは一体どう
なった?!
 紫龍にここまで気を遣うからには、ちゃんとフォロー
できてるんだろうな、おい。

 さらに続く。

「アテナは、紫龍を、もはや戦士として見てはいらっ
しゃらない?」
「紫龍はあまりにも傷つき過ぎました……! 私が至ら
ないばかりに、紫龍から光を奪ってしまった。なのに……
また紫龍を戦いにかり出して、この上、彼からなにを
奪おうというのです」
               (62ページ)


 「私が至らないばかりに」ってのはもう全くもって
その通りである。
 自覚あって結構だが、というか自覚あるとは知らん
かったが、アテナよ。それ以前にこの台詞は上に立つ者
として問題ありすぎだ。

 あのね。あんたが至らないばかりに(文字通り)死ぬ程
苦労させられたのは、紫龍だけじゃないぞ。失明という
はっきりした障害が残ったのは確かに彼だけだけど、
他の四人だってそうなっても少しもおかしくはなかった
のだ。

 これは彼女の身勝手な感傷に過ぎないではないか。
 しかも実に表面的な部分だけを見た自己満足である。
傷病を理由に戦いから遠ざけるなら、もうきっぱりと
聖衣も返上させるべきだと、私は思う。本人の意志を
無視してでも、はっきりそうさせるのが筋というもので
はないか?
 ハーデス編冒頭でも、彼女は同じようなことを言って
星矢たちを戦いに参加させないようにした。しかも本人
達に何も伝えずに。どうやら過去から何も学んでいない
ようだな。


 アテナ。
 あなたが感傷に走って、良い結果を招いたことはただの
一度もないことを、いい加減ちゃんと認識してください。
 話がややこしくなってみんなが迷惑するだけなんです!!
 てゆーか手足どころかとっくの昔に人生奪ってんじゃねーか、
今更何言ってんだ!!
 ・・・ちょっとは成長したかと思ってたんだけどな。
暴走癖が治まっただけか・・・・。

 えー、ちょっと真剣に腹立ってしまったので、きつい
です。アテナファンの方、本当にごめんなさい。

 でも、盟ちゃんも紫龍(ちゃん付けできないな彼は)も、
ニコルさんに「あのふたりこそは真の聖闘士」と評価
されているのね。これはかなり嬉しかったv


 て言うか、アテナが何と言おうと来ちゃうのが紫龍
なんだしね。
 春麗が可哀想、というのは本当にその通りだと思う。
誰のせいかというと紫龍なんだが。彼女のテーマソングに、
『何日君再来』が頭を離れないのは私だけだろうか。



 ───で。ここからが急展開。
 空間を超えて教皇の間に飛んでくる瞬のチェーン。
 ひっくり返ってさりげなくマヌケ役を振られている
辰巳さんはまあおいといて、ほんと便利だな、この鎖。


 さて。聖域十二宮にはアテナの結界が張られていて、
何人たりとも宮を飛び越えてのテレポートはできないと
いう。
 何だかミステリのトリックに使えそうな設定だなとか、
じゃあ十二宮編のとき双児宮から天秤宮まで飛ばされた
氷河は何だったんだとか、いきなり処女宮に現れた一輝は
何者だとか、いろいろ言いたいことは山のようにあるの
だが、それはともかく。
 人間のテレポートは無理でも物なら可能という理屈に
なっているのだろうか。
 とすると、それはそれで結界の意味がないような気が
するが。瞬は双児宮から教皇の間まで直接攻撃できたわけ
だしな・・・


 とりあえず、こういう特殊な形で危機を伝えることが
できる瞬はともかく、他の者が当たりを引いてしまった
場合はどうやって聖域と連絡を取る手はずになっていた
のかが気になって仕方がない。
 こいつらがケータイを扱えるのだろうか。あの恰好で
そんなものを持ち歩けるのだろうか。
 ティルトローター機を操縦できる聖闘士がいるんだから
大丈夫だと思いたいところなのだが・・・・
 後は時代設定だな。少なくとも原作の連載時、携帯電話は
まだ普及していなかったはず。電波通じそうにない場所が
多い(洞窟だもん)ことにとりあえず目をつぶっても、
さーて、どうなってたのかなー。

 もしも、世界各地に飛ばされた聖闘士たちが通信手段を
持っていなかったとしたら(その可能性の方が高いと思う
のは私だけだろうか・・・)。

 どうも素直に読む限り、それぞれの聖闘士はひとり
ひとりバラバラに世界各地へ派遣されていたようだ。
(またも湧き上がる不法出入国疑惑・・・笑)

 つまり、うっかりテュポンの本拠地に当たっちゃった
場合、圧倒的に不利な状況にいきなり陥ってしまう可能性が
かなり高い。
 何とか脱出して報告できればいいが、どうしようもない
まま負傷したり捕縛されたりして動けなくなったら、
もしくは最悪の場合死亡してしまったりしたら・・・・

 ・・・あ。ひょっとしてニコルさんの心づもりは、
「派遣した聖闘士から連絡がない」「派遣した聖闘士が
帰ってこない」場所が怪しいと見て重点的に捜索する、
とかそんなところだったのか? シビアっすね・・・・
(仮定の上に仮定を重ねて好き勝手言ってすんません)



 ・・・・そしてさらに続く急展開。
 いや・・・まさかここまで唐突にユーリさんを殺しちゃう
とは思わなかった。彼女の役回りは、全てが終わった後で
そっと夜空を見上げたりしつつ盟のことを想う(恋愛感情が
あるかどうかは別にして)・・・なんてところではないかと
思っていたので(ベタですみません)。

 この巻は冒頭の「盟様」から始まってびっくりの連続
だが、ここでもしっかり外さず意表を突いてください
ました浜崎先生。いや、ほんとすごい。
 
 ただ、ユーリの星の加護がついえた。
 ただ、それだけ。
 ただ───
              (68ページ)


 この言葉は重かった。彼らの生き様のどうしようもない
冷厳さと残酷さが、ただ静かに表現されていてひたすら
哀しい。ああ、つっこめませんごめんなさい(つっこま
なくていいよ・・・)。


 で、前巻で活躍がなかった分ここで出てきやがった
“魯鈍”のパラス。
 ところで神話ではギガスのパラスはアテナに倒されて
皮を剥がれたわけだが、だからこいつは皮を剥ぐんだろう
か・・・ユーリさんがそんな目に遭わなくてよかった。
いや、死んだら関係ないんですが・・・(泣)


 本気で怒る盟がかっこよくて哀しい。・・・んだけど、
紫龍。
 「この紫龍」「このドラゴン紫龍」とひとつの台詞の
中で二回も言う辺りに彼の性格が現れているように思う。
生真面目でプライド高くて実は結構自意識過剰(笑)。
 特徴的な古くさいしゃべり方や語彙(外道って・・・
一輝兄さんと彼くらいだな、言うの)もきっちり再現され
ていて嬉しい限り。 

 が、ここは紫龍君に出しゃばってもらっては困る。
 盟ちゃんの初の戦闘シーンにして、髪の毛座の聖衣の
お披露目なのですから!! あんたは引っ込んでなさい!!
(あああああファンの方ごめんなさい)


 髪の毛座の聖衣の装着形態だが、記述から素直に想像
すると瞬のアンドロメダ座の聖衣に似ているように思える。
邪魔っぽい肩パーツとか、下半身がニーパットだけとか、
「髪飾りのような」ヘッドパーツとか。
 まあ、正確には、アンドロメダ座の聖衣の肩パーツが
見るからに邪魔そうになってから(海皇編以降)は、
脚のガードはもうちょっとしっかりしたものになっていた
のだが。
 どちらも収納形態が女性の上半身をかたどった形状
(アンドロメダは進化するにつれて何だかすごいことに
なっていたが)だから、似たような形になるのだろうか。

 ・・・思えば初期のアンドロメダ聖衣は、あれで鎧の
用をなすのかと見ていて不安になってくるほどカバー率が
低かった。サガは絶対着られない。

 全天88星座のうち、女性の星座は3つある。
 髪の毛座は「髪」がメインだから入れないがそれは
ともかく、アンドロメダ座と乙女座とカシオペア座が
そうだ。未登場のカシオペア座の聖衣がどんな形なのか、
非常に気になる。

 ただ、いくら形が似ていても、コーマとアンドロメダは
相当印象が違うだろう。片や漆黒、片やピンクだもんな・・・
(暗黒聖衣と間違えられないように注意ね盟ちゃん)。

 どうでもいいけどアンドロメダのヘッドパーツって、
神聖衣より前のバージョンはずっとカチューシャ状態
だった(側頭部のガードすらない、本気で鍬形が付いた
だけのカチューシャに見える)けど、あれは頭部の防御に
何か役立っていたのだろうか。
 あんな頭に密着した防具、上から殴られたりしたら
ダメージが直接伝わって無意味じゃないのか。いや、
むしろ下手な形状だと防具の方が硬い分ダメージ大きく
なるんじゃ・・・・


 閑話休題。この際アンドロメダ座はどうでもよろしい。
 聖闘士盟・初の勇姿である。さっさとそこに入れ、
どうでもいい考察なんかだらだら書くなとお怒りの皆様
お待たせいたしました。

 いきなり糸で一閃して腕切断。考えてみればえげつない
技ですな〜。
 が、このパラスは書物を乱暴に扱った時点で緑の
「逝ってよし」対象確定なので、ここは素直に盟を応援
いたします。だが、無駄に流血させて本を汚すのは、
出来れば控えていただきたい・・・(黙れ)


 古の超金属オリハルコンに、ガマニオン、銀星砂と
いったレアメタルを加えた合金からなる聖衣を、髪の毛
ほどの糸にまで細く伸ばし鍛えるとは、いったい、どの
ような叡智による技か。
                (76ページ)


 金属には延性という性質があってね・・・。
 私的にはそういうことより、鎧状からほどけるという
設定の方がすごいと思う。どういう構造になっているのだ。
灰になっても甦る某不死鳥よりはおとなしいが、十二分に
異常だぞ。

 しかし、実質初めて聖衣を身に着けての闘いで、よく
ここまで出来たものだ。こんな特殊な武器、訓練せずに
使えるか? て言うかほんとにどういうことになってる
んだ?
 まあ、それ言うと瞬の鎖もそうだけど。というか、
もしも盟ちゃんが銀河戦争に参加していたら、瞬との
反則武器聖衣対決ってのもあり得たのかな〜。

 それにしても初回で堂々と技の解説までする辺り、盟は
立派な聖闘士と言えよう(技の解説って義務らしいしな)。
“斬糸”とか。あげくに暗闇にして「これは死の演出だ」
なんて詩的な決め台詞までぶちかまして、性格変わって
ないか盟!! キレた結果か?!

 さらに。

 “ロストチルドレン”
               (78ページ)


 技の名前までいつの間に付けた?! しかも無茶苦茶
かっこいいぞー!!
 唯一問題があるとすると、どこをどうつついても髪の毛座
との関連性が出てこなさそうな点であろうか。まあ、他の人
も結構そうだけど。