5.

 「温故知新」という言葉がございます。歴史に学ぶことは
とても大切なことなのです。それによって私たちは故人の
知恵を知り、また同じ失敗を繰り返さないように出来るの
です。
 そして同じ理由で、後世に自分の時代のことを伝えるのも
とても大切なことで・・・

 だから、都合がどうとか言わないでちゃんと記録は残そうね。

 ・・・という教訓の見本のような会話をしているアテナ&
ニコルさんはさておき。

 というか、この時点でどういう状況になってるの? 
 動ける聖闘士が全員出払ってしまえば当然聖域の守りは
手薄になるけど。そこまでいきなり動かしたわけか?
 敵の本拠地に人質救出に行くときは案内役含めてわずか
3人だったのに。そりゃ地球規模の捜索なら人数は必要と
されるだろうが、極端から極端に走る人だなニコルさん・・・
ていうか何か間違ってないか?!

 どうもこう、対応が後手後手に回るというか、要領が悪い
というか、要するに戦略がまずいんだよな、アテナ陣営は
みんな。そもそも戦略なんてもの考えて行動している人が
いるのかも怪しいレベルだけど。


 とりあえず、これだけは絶対に言わなければならないと、
ツッコミに使命感にも似たものを感じてしまった台詞が
ひとつ。

「この戦い───時の流れは、われわれに味方してはくれ
ませんね」
              (50ページ)


 この戦いも何も。未だかつて、彼らが「時の流れ」が
味方してくれるような戦いをしたことはただの一度も
なかったように思うのは、私だけか。

 彼らはいつも、十二時間以内に十二宮突破とか、溺死
する前に柱破壊とか、いろんな意味で致命的なタイム
リミットを一方的に切られた状態で戦わされていたように
思うのだが。誰かのせいで。
 彼らの戦いにおいて、「時の流れ」とやらはむしろ常に
敵であったように思うのだが。誰かのせいで。ええ、
誰のせいとは敢えて申しませんが。

 一番問題なのは、この台詞を口走ったのがアテナで
あるという点であろう。分かってんだろうか、この女神様・・・
 まあ確かに、あの青銅連中は、こういうある意味背水の
陣的な状況の方がより頑張るみたいだけどね。ちょっと
追い詰められた方が、小宇宙って燃えやすいのかも。でも、
そういう問題ではないよなあ。


 で、ここでようやっと、彼の登場がほのめかされる、
と。
 これはすごいと思う。一輝はいいよ、彼は最初から
出てきたらそっちの方が前代未聞だから。でも、紫龍が
こんなところまで出てこないなんて・・・これは、意外
でした。
 『盟の章』を読み終えたとき、「え? え、これで
『続く』? ええっ、紫龍は?! 出てこんの?!」と、
かなり動揺したものだった。こういうのもありなんだ・・・

 考えてみれば、紫龍と盟との間には師匠の因縁がある
わけだ。浜崎先生、実は彼の登場をどうするか、相当苦労
されたんじゃないだろうか?



 と・いうわけで、『師匠と語ろう』(違ッ!!)。
 
 この書き方からして、やっぱり黄金は全員いないん
ですね、ギガマキの設定では。

 で、ここでちらっと書かれているのだが、もしも盟が
テュポンの傀儡などにならずに聖闘士として日本に帰って
いたら。銀河戦争で弟たちと、何より沙織と再会したら。
 そして、父親への憎悪から修羅となった一輝と再会した
ら・・・・

 くわっ!! 湧く!! 妄想湧きまくる!! すごい
パラレルだわ!!! てか、ロク様が「盟ファンへの
質問」で答えていらっしゃいましたね。いいなー。

 ・・・・・書いちゃおうかと一瞬本気で思いました
(原作のストーリーが崩壊するが)。
 でも、考えてみれば本当にいい設定だと思うのだ。
あの青銅兄弟の中に、ひとりだけ城戸光政サイドの人間が
混じっていたら、それだけで話に深みがすごく出ると
思う。さらに彼の師匠は十二宮でサガ側についてるわけ
だから、こちらの意味でも深みが。

 どなたかお書きになりません? ・・・ダメ?


 すみません、やっと紫龍が出てくるってのに関係ない
前振りが無駄に長くて。
 ついに、本当にやっと、紫龍登場。またなんてゆーか
アレな表現をされておりますが。
 「噂に高い」「龍座の聖衣の代名詞でもある、ドラゴンの
盾」ってのはガセだろうというのはまあいいとして
(ひょっとして、「噂」ってのは「ありゃガセだ」って
噂か?)。

 引用いきます。

 そして、その重装の鎧をまとった紫龍は、武骨なイメージ
の龍座の聖衣とはあるいは対照的な、つやのある紅顔の
美丈夫だった。
 やや細身ですらある。
 それゆえか、重たくなりがちな男の長髪もどこか似合って
しまう。腰まである黒髪を結わえれば、きっと凛々しい
若武者のようだろう。
               (53ページ)


 やや細身どころか紫龍ってガリガリなんだけどね。
瞬より細い。あの身長であの体重で、あの肉体美はあり
えない・・・むしろ、あばら浮いてても不思議じゃない
(汗)
 ついでに、男の長髪なんてこの世界では珍しくも何とも
ないんだけどね。
 むしろ紫龍はストレートヘアだからすっきりしたもんだ。
黒いから見た目が重苦しいのはまあ仕方ないけど、それを
言うならサガとかカノンとかミロとかアフロディーテとか、
長い上に豪快に広がるくせっ毛の人々はどうなるのだ。
 シオンに至っては、初めて見たとき私は素で「連獅子
(註4)?」と思ったのだが・・・


 閑話休題。
 紫龍の目について気にする盟。まあ普通気にするか。
しかしここまできっぱり「ハンディキャップにはならない」
と言い切られると、あの目潰しにショックを受けた往時の
自分の純情が何だか虚しいのだが。確かに全くなって
いなかったが。

 会話としては「いつからだ……」「戦いのなかで」と
いうだけの短いもので、それはそれでふたりの複雑な
想いがそれぞれに感じられて良いのだが、紫龍、「二回
目だ」ってのは言わなかったね・・・。言ったら盟ちゃん
どんな顔するかしら(笑)

 ついでにもうひとつ。この言い方では戦闘中に負傷した
ことが原因で失明したようにしか聞こえないが、少なく
とも一回目は自分で潰したのだ(そしてその行動は必ず
しも必然的とは言えなかったような・・・)ということも
言わなかったね。言ったら盟ちゃん引くだろうなあ(笑)

 さらにこれが一番重要な気がするが、この一回目の
失明から回復したのは、偶然とは言えあの御方のおかげ
だということも、言った方が良いと思うな。
 紫龍、ひょっとして忘れてる? いや、理解はして
いてもあいつに感謝したくないというところだろうか。
無理もないが。

 しかし。紫龍のこの台詞。

「目が見えぬゆえに、オレは他人の心の気配を少しだけ
感じることができる(後略)」
              (55ページ)  

 ええええええッ?!! 何それ?!
 ちょっと待て、真剣にそれは待て! 紫龍あんたいつの
間にそんな特殊能力を身に付けたんだ?! お姉さんは
聞いてませんよ?!(何)
 と言うか・・・、紫龍ってそんな、他人の心に敏感な
奴だったか?
 ガッチガチの堅物でくそ真面目で、むしろそういう
ことには疎かったように思うのだが。(ファンの方
ごめんなさい・・・でも、違う?)
 

 盟が自分の師匠が「蟹座の黄金聖闘士だ」(フッ、
やはりそうか・・・)ということを告白したとき、既に
デスマスクと紫龍との因縁は知っていたようなのだが、
どうして知ったのかがすごく気になる今日この頃。そう
いう情報って、末端の雑兵にまで伝わるものだったの
だろうか。もしくは辰っちゃん辺りに聞いたのだろうか。
どうでもいいが。

 ところで読者の内、この時初めて「えーっ!!」と
叫んだ人と「ああ、やっぱり」と思った人との比は何対何
ぐらいに・・・(しつこい)


「星になった師匠と話していた」
              (55ページ)


 師匠・・・星になったんだ、そうなんだ・・・・・。
 言葉面だけ見るとあの人のことだとはとても思えない
ほど美しい響きだわ。
 しかしまあ素直に聞くとなかなか泣ける台詞ですね。
星って、やっぱりプレセペ星団なのかなあ。
 そして、やっぱり盟ちゃんは師匠のことちゃんと好き
なんですね。この台詞は本気で嬉しかったです。
 凍り付く紫龍が妙に可愛いんだけどね。
 このときの彼の心情は察するに余りあるよ・・・。
さぞや、目の幅で涙を流したい気分だったことでござい
ましょう。・・・笑える。(何故)


   6.

 アナトリア、アリマ火山。<テュポエウスの住み処>。
 「盟の章」で出張りまくった反動であるかのように
今回は出番の少ない瞬ちゃん。しかし、今度は攫われ役を
君がやるか・・・。男の身でアテナと張るとは、さすがは
お姫様の星座(そういう問題ではない)。

 テュポンに「火山を自在にあやつるような力」があるか
どうかは怪しいんだが。
 エトナ山が火山になったのは、神話によるとあくまでも
山の下でテュポンが暴れているせいであって(ナマズか)、
操るというのとはちょっと違うと思うので・・・
 でも、まあ、あいつは一応天変地異全般の擬人化
(神格化?)みたいな存在だから、そういうことが出来
てもいいんだけどね。バカのくせに力だけは有り余って
暴走しているというあのバカ神のイメージには、火山は
似合いかも知れません。


 ・・・・ここで捕らえられてしまうため、この後戦い
での出番がなくなってしまう瞬ちゃん。
 考えてみれば、メインの内のひとりが最終決戦を前に
こんな形で戦線離脱して、しかもその後本当に全く戦って
いないというのも、異色な展開だ。
 瞬はハーデス編でも、一度ハーデスに憑依される形で
戦線離脱しているが、その後割とすぐ復活してエリシオン
ではちゃんと参戦しているのに。

 紫龍が前半全く出てこないことと言い、あのアテナが
暴走しないことと言い、氷河が本当にクールであることと
言い、オリキャラの盟が主役を張っていることや蟹が
異様に持ち上げられていることを差し引いても異色ずくめの
『ギガントマキア』。やはり、侮るまじ。(いい加減にしろ自分)